第5回 超音波実践技術講習会

臨床生理学研究室 教授 石山陽事

超音波検査実践講習会は杏里会のご援助と大学の協力により今年で第5回目となり、3月6日(土)、7日(日)の両日に三鷹の杏林大学看護専門学校実習室で 開催致しました。本講習会は杏林大学保健学部が卒後教育の一環として今や高度医療技術の中で欠くことのできない代表的な医用画像検査である超音波検査を最 新の装置を使って行う実践的技術講習会です。

対象はすでに病院や診療所等に勤務している臨床検査技師、看護師、医師等で、「日頃超音波検査技術を学びたい」、「最初からきちんと教えてもらいたい」、 しかしそういう環境が身近に整っていない。また、「超音波検査を検診等で実施しなければならないが、臨床経験が少なく癌等を見落とすのではないかと、毎日 不安である」等の卒後5年以内程度(これから超音波検査の技術を学びたいと考えている検査技師も卒後年数に関係なく参加できます)の初心者から中級クラス の医療従事者です。

講師陣は日本でも有数のこの方面の臨床経験と検査実績をもつ日本超音波医学会の超音波指導医と同じく16名の学会認定の超音波検査士で、超音波検査の単なる講義だけではなく、それこそ実践的な技術を教える講習会です。

第1日目は循環器内科を専門とする心臓の超音波指導医によって、午前中に実践的な技術解説と画像から読みとれる臨床疾患について病理組織像を含めた講義が 行われ、これから超音波検査を勉強しようとする受講者にとっても非常に有意義な講義が行われました。午後から実際8名の被験者に協力してもらい、東芝、ア ロカ、GE横河、フクダ電子の各メーカ自慢の最新鋭のデジタル超音波診断装置計8台(いずれもパワードプラーやハーモニック画像のソフトを備えている)を 用いて、それぞれの装置について学会の心臓認定超音波検査士8名により心臓の超音波検査のプローブ走査法から始まり画像の的確な描出法などについて、実践 的な実習講義が行われました。同時に1台は少し経験年数のある中堅技師等のためにあて、より高度なテクニックについて実習と講義がなされました。

第2日目の午前中は消化器内科を専門とする超音波指導医による腹部(膵、胆、肝、腎、脾等)超音波検査について、解剖学的位置関係を含んだ超音波プローブ の走査法を主とした検査のコツ、注意しなければならない臨床症例等についても丁寧に症例スライドを使いながら講義が行なわれました。

午後から同じく8台のデジタル超音波診断装置を用いて同じく学会認定の腹部超音波検査師8名により各受講者が1人1人何度もプローブを持ち実践的な技術を 修得できる体制で行なわれました。腹部超音波検査実習(も)同様に1台はより専門的な超音波テクニックを修得しようとする受講者用として配置されて行われ ました。
本講習会はこれだけ充実した実践的講習会にもかかわらず2日で講習会参加費が15,000円(1日8,000円)とこの種の一般講習会 (1日の講義だけで4?5万円、実習があったとしても1~2台を用意し多くの受講者を集めた営利含みの講習会が多い)と比較してもないよう、講習参加費共 に受講者に満足してもらえたものと確信しています。しかも杏林大学の卒業生に対してはさらにその半額(1日4,000円)で受講できるようにしてありま す。また今回は前述しましたように午後の実行・講義の講師陣を前回の8名から16名に増員し各ベッドの超音波検査市を配置した事から今まで以上に受講者に 満足の行く講習会になったことと思っております。本講習会は心臓・腹部それぞれ定員45名ですが、受講希望者の多く定員が若干オーバ致しましたが出来るだ け希望に添える体制で何とか実施することが出来ました。

杏林大学保健学部卒業生は期日を設けて優先し、しかも卒業生は杏里会よりの補助もあり参加費は前述しましたように半額ですので、一般雑誌へのお知らせ以前 から申し込みの問い合せが殺到しました。幸い期日までに申し込まれた卒業生が全員受講出来ました。残りは一般の受講者です。受講生は東京、神奈川県、千葉 県、長野など関東甲信越地区の方が多い様ですが、受講料が前述したように格安で有るため、交通費、宿泊費を払ってでもこれだけの内容ならばと、北は東北地 方、南は中国・四国地方などから来られる方もかなりおりました。今回は本学17~21期生が15名も参加され、懐かしさと共に皆様が活躍されている様を垣 間見ることが出来大変嬉しく思っております。

今後とも、杏里会の皆様、役員の方々には引き続き応援のほどよろしくお願い致します。またこの超音波検査実践技術講習会の開催にあたり、会場を快く提供し てくださいました杏林大学および看護専門学校の皆様、高価な装置を提供していただき、さらに各社1~2名ずつ装置保守要員と超音波インストラクター(メー カに就職した臨床検査技師)を付けていただいた医療機器メーカ各位に心よりお礼を申し上げます。

なお来年も第6回超音波実践技術講習会の開催を予定しておりますが、いずれ開催通知を本会報を通じてお知らせ致します。