第6回杏林大学保健学部 診療放射線技術学科卒後研修会

 9月3日(土)、保健学部診療放射線技術学科による第5回杏林大学保健学部診療放射線技術学科卒後研修会が開催されました。今年は井の頭キャンパスでの対面およびZoomによるWeb配信のハイブリッド方式を採用し、87名が参加しました。
 今年も本谷啓太学術奨励賞の表彰が行われました。この賞は2018年に逝去された故本谷啓太先生の功績を称えるとともに、若手診療放射線技師の育成に対する本谷先生の情熱を受け継ぐために設けられた賞であり、放射線業務や研究において優れた業績を挙げた卒業生が対象となります。第2回受賞者の篠塚香緖さん(3期生)による本谷啓太記念学術奨励賞記念講演「膝関節側面撮影とポジショニング判定支援機能の実用性について」は第76回JSRT東京支部春期大会新人研究奨励賞を受賞された内容で、今回の講演はそれに細かな解説を加えたものでした。教育講演「脊椎転移SBRTに対するコリメータ角度の検討について」は松本紗貴さん(1期生)による講演で、治療計画装置によってコリメータ角度の違いに差が生じるという内容で、VMATや脊髄転移SBRTから分かりやすく説明していただきました。特別講演「新規治療法導入時における多職種チーム連携による安全かつ効率的な治療法の構築の試み」は診療放射線技術学科准教授の三木健太朗先生にご登壇いただき、治療を題材としてチーム医療を推進するのに重要となる具体的な内容について詳しくご講演いただきました。どのセッションも非常に白熱した討論が行われ、参加者の関心の高さがうかがわれました。

卒業生の声「第6回診療放射線技術学科卒後研修会に参加して」
第1期卒業生 松本紗貴(杏林大学医学部付属病院)

 2022年9月3日に第6回診療放射線技術学科卒後研修会が開催された。昨年同様に現地会場とオンラインによる同時開催という形式ではあったものの、今年もこのように在校生と卒業生が知識を高め合うべく集まる場が開催されたことは嬉しい限りであった。
 最初の講演は本谷啓太記念学術奨励賞表彰ならびにその記念講演として3期生の篠塚香緒氏より「膝関節側面撮影とポジショニング判定支援機能についての実用性について」というテーマでご講演を賜った。診療放射線技師として業務上多く携わる膝関節の単純X線撮影についてポジショニング支援機能により誰もが一定かつ高い質の写真が撮れるようになることは大変有意義であることは疑いなく、大きな技術の進歩を感じることができた。その次は、私が「脊椎転移SBRTに対するコリメータ角度の検討について」というテーマで教育講演を行わせていただいた。放射線治療に関心のある方や業務に従事している方は勿論のこと、現在まで放射線治療の業務を行ったことがない方、まだ診療放射線技師として働いていない在校生の方々にとっても少しでも参考になればと思い講演をさせていただいた。このような大事をお任せいただけたことは光栄で、微力ながら尽力できたのは大変嬉しいことであった。次に、本年より杏林大学に赴任された三木健太朗先生の「新規治療法導入時における多職種チーム連携による安全かつ効率的な治療法の構築の試み」というテーマでのご講演を拝聴した。多職種が協力することが切に求められる放射線治療において、職種の垣根を超えた情報共有の方法などを実際の例を交えて分かりやすく提示していただいた。個人の意欲や力量に寄るのでなくシステムとして実装し解決する姿勢に深く感銘を受けるとともに、ご教授頂いた数々の知識をぜひ今後に生かしていきたいと感じた。最後に、山本先生より閉会の挨拶を頂戴した。現状に甘んじることなく精進している同じ学科の方々の近況を伺うことで、背筋が伸びる思いであった。大学を卒業して以後も、診療放射線技師として学び続けなければならない使命を再確認することができた。今後もこのような会を通して多くの学びを得ることを切に願うばかりである。ご講演を通して惜しみなくご自身の知識を授けてくださった両先生と、企画運営いただきました診療放射線技術学科の先生方に心より感謝申し上げます。